* あたたかすぎる場所 *










「跡部、客や。」


「どーも、跡部くん。」


「千石・・・。」


「昨日ぶりだね。」


「何しに来たんだよ。」


「ちょっと話をね。」


「・・・・・・忍足、アイツ等を呼べ。」


「わかった。」


「ピリピリしてるねー跡部くん。」


「うるせぇー。」


「まぁ、わかるからいいんだけどね。」



彼はきっと悩みすぎてしまったんだ。

ちゃんのことを・・・。



「・・・・・・。」


「連れてきたで。」


「とりあえず、座れ。」



来たのはあの時と同じメンバー。

彼らからちゃんに対する気持ちを訊いた時と・・・。

あの時の彼らはまだ全てを受け止めることが出来てなかった。

それは当然。



「単刀直入に言うよ。今の君たちの気持ちが聞きたい。」


「俺は・・・姫さんにもう一度笑って欲しいねん。

別に俺に向かってやなくてもええ、ただ・・・あの姫さんには幸せに笑っててもらいたいんや。」



初めに声をあげたのは忍足くん。

彼の瞳はあの時とは違う。



「俺は・・・ちゃんにまた戻って来てほCー。前みたいに膝枕してもらいたEー!」



芥川くん。

彼も変わった。



「俺だって!あの時の・・・楽しかった時に戻りたいぜ!」



向日くん。

彼もまた・・・前とは違う。



「・・・・・・アイツがまた笑える場所があるならそれでいーんじゃねぇーか?」



宍戸くん。

彼もちゃんと変わっている。



「良かったね、君たちはちゃんとわかっている。って俺が言うのもなんか変だね。」



みんなちゃんのことを本当に愛しいと想っている。

あの時は愛しいという想いと、もうひとつの想いが混ざっていた。

でも、今は違う。

彼らは変われている、でも・・・。

ちゃんはまだ・・・。



「でも、まだちゃんには逢えないよ。」


「何で?!」


ちゃんがまだ、自分を責め続けているから・・・。」



短い時間だったけど、わかった。

彼女はまだ、自分を責め続けている。



「千石さん。」


「ん?何かな?」


「俺だって、先輩に戻ってきて欲しいと思います。」


「うん、君たちはね、あの時も同じ言葉を言っていたよね。」



ちゃんへの気持ちを上手く表現できていなかったのは3年生だけ。

ここにいる、鳳くんや日吉くん、樺地くんはちゃんとわかっていた。

それはきっと・・・過ごしてきた時間の違い。

でも、それは悪いことじゃないんだよ。



「今のこの場所はきっとちゃんにとって優しいものだね。」



あとはちゃんの心が戻ればいい。

自分を責め続けるだけじゃなく、ちゃんと前に進めるように・・・・・・。




 







アクセス解析 SEO/SEO対策