* 紳士と詐欺師 * 気になった女は可笑しなヤツじゃった。 「ごめんねっ!」 すぐ謝るヤツ。 「ごめんね・・・・本当にごめんねっ」 何度も、何度も。 頭を下げで上目遣いで俺を見上げてくる。 「俺は怒っとらんよ。」 「でも・・・っ」 「大丈夫じゃ。」 同じクラスの。 ただ少しぶつかっただけ。 俺の不注意でもある。 「本当にごめんね!」 「俺もそんなに柔じゃないき。」 「あっ・・・うん、そうだね。」 にっこりと笑う。 初めて見た、が笑う姿を。 「・・・///!」 「に、仁王くん?どうしたの?顔赤いよ?熱?熱なの?えっと・・・どうしよう?!」 どうやらパニック体質でもあるらしい。 これを利用しない手はない。 俺も詐欺師と呼ばれる男じゃけんね。 「熱かもな・・・保健室まで連れてって。」 「うん、連れて行く!大丈夫?歩ける?」 さてどうするべきか。 このは小さい。 肩に俺を担ぐことも到底無理。 「じゃあ手、繋いで?」 「え、えぇ?!手??」 「そう、手じゃ。」 「えっとあの・・・その・・・っ」 「だめかのぉ・・・?」 「だ、ダメじゃないよ!!」 おずおずと手を出してくる。 詐欺師の勝ちかの? 純粋じゃね。 その手を掴んで歩き出す。 「に、仁王くん・・・やっぱり恥ずかしいよ?」 「嫌か?」 「え、あの・・・大丈夫です。」 可愛いのぉ・・・。 顔を真っ赤にして今までにないタイプじゃ。 「可愛いのぉ・・・は。」 「えぇ?!」 「仁王くん、彼女も困っていますよ。」 「柳生。」 チッ邪魔なヤツが来た。 「比呂くん!」 「こんにちは、さん。」 「こんにちは。」 今柳生のこと名前で呼んどったな? しかも柳生も名前で呼んどった。 「知り合いか?」 「うん、去年同じクラスだったのっ」 「仁王くんとさんはどうしてこちらに?」 いつのまにか保健室の前。 「仁王くんが熱みたいでね、保健室に連れてきたの。」 「そうじゃ、柳生は帰りんしゃい。授業始まるぞよ。」 「わかりました。さん、よろしくお願いしますね。」 「はいっ」 柳生は教室へ帰って行った。 アイツも気があるな、に。 わかりやすいヤツじゃの。 「失礼します・・・・・・あれ?先生いない?どうしよう・・・。」 「が傍にいてくれんかの?」 「あっはい、わかりました!」 |