* 紳士と詐欺師 *










「仁王くん大丈夫?」



心配そうに俺を見つめてくる

初めて可愛いと思えたヤツ。



「大丈夫じゃ。でも・・・」


「でも?」


「手、繋いで?」


「ふぇ?!」



この反応はなかなか面白い。

こういう反応をされると苛めたくなるんじゃよ。



「手。」


「う、うん・・・。」



両手で俺の手を包み込んでくれる。

小さな手。



「仁王くん、手大きいね。」


「男じゃけんね。」


「いいなぁー。」


の手は小さいのー。」


「うん、仁王くんみたいに大きかったら掴み取りとか有利そう。」


「掴み取り?」


「この前ね、キャンディーの掴み取りっていうのがあったの。

私、手が大きくなから全然掴めなくて・・・残念だったなぁ・・・。」


「今度一緒に行くか?」


「え?」


「俺が掴んじゃるよ。」


「いいの?」



笑って頷いてやる。

たちまち笑顔になる



「嬉しいっありがとう。」



言い寄ってくる女はどれも裏で何かを考えている節があった。

でも、この目の前の女は違う。



「でも、仁王くんテニス部さんだよね?そんな時間ないんじゃ・・・。」


「テニス部だって休みはあるんよ。」


「貴重なお休みを私のために使ってもらうわけにはいかないよね・・・。」



そんな風に言うとは思わなかった。

珍しい女もおるもんじゃね。



「構わんよ。」


「・・・ありがとうっごめんね。お礼するね!」



別に・・・と言いかけてやめる。

折角じゃ。



「じゃあ・・・名前で呼んで?」


「え?」


「雅治って呼んで。」


「で、でも・・・・っ」


「よ・ん・で?」


「う、うん・・・雅治くん・・・///」


「何?。」


「な、名前?!」


「ダメかの?」


「ダメじゃない・・・ですけど・・・っ」



恥ずかしいというわけか。

ますます苛めたくなるのぉ・・・。



。」


「な、何?」


「呼んでみただけじゃ。」


「・・・///」


「可愛いのぉ・・・。」


「そ、そんなことないですっ」





キーンコーンカーンコーン





「失礼します。」



柳生の声かの?



「仁王くん、容態は?」


「比呂くん?」


さん、仁王くんの容態は・・・?」


「うん、熱もないし大丈夫だと思うよ?」


「そうですか。」


「心配かけて悪いのぉ。」


「それでは仁王くんももう一時間ここにいてください。さんは教室へ。」


「でも・・・っ」


「仁王くんなら大丈夫ですよ。」


「本当?」


「だから戻りましょう、送ります。」


「う、うん・・・雅治くん、お大事にね?」



やられた。

侮れないぜよ、柳生比呂士。


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