* 忘れ物をしたら、その時はもちろん * 軽快な足どりで走ってくる。 ひとりの女。 「亮ー!!」 俺はまたか、とため息をつく。 「もう、そんな顔しないよ!」 「お前がさせてるんだろ。」 この女は。 俺の幼馴染で・・・一応彼女だったりする。 「で、用件は?」 「教科書かして。」 やっぱりな。 忘れっぽい性格で忘れ物なんて日常茶飯事。 「何のだ?」 「えっとね・・・数学、現代文、古典、音楽。」 「・・・大量だな。」 「特に音楽希望、太郎さん怖いから。しかも一時間目。」 多分この学校で唯一、監督のことを太郎さんなんて呼び方を本人の前でも平気でする。 まぁ・・・は監督にも気に入られてるもんな。 俺たちテニス部の有能マネージャー。 テニスのことなら忘れない奴だし。 「とりあえず、音楽俺はないから先に貸してやるよ。」 「他の教科は?」 「俺もあるんだよ。」 「じゃあ前の時間に借りに来ることにする。」 「あぁ、そうしてくれ。」 「じゃあねー!」 音楽の教科書を持ってまた軽快に走っていく。 「忘れずに来いよ!」 「うん、努力するー!!」 「亮!」 「次は?」 「数学!」 「ほら。」 私は亮のことがすごく好き。 だからつい甘えてしまう。 忘れ物をするのも亮がちゃんと教科書とか貸してくれるのがわかってるから。 「ありがとう!」 「ったく・・・もう忘れんなよ?」 「・・・嫌。」 「嫌ってなぁ・・・まぁいいけど。」 「え?」 「どうせ俺に甘えてるだけだろ?」 なんて亮は言った。 やっぱり気付いてたんだ・・・ 私が亮に甘えているということ。 「お前昔からそうだもんな。」 「・・・・・・亮は嫌?」 「嫌じゃねぇよ、限定だけどな。」 「私限定?」 「そう、お前限定。」 亮はいつも私のほしい言葉をくれる。 "限定"って事は"特別"って事だよね。 「じゃあこれからも毎日忘れ物するね!」 「・・・・・・マジかよ。」 「だって・・・甘えていいんでしょ?」 「・・・甘えるのは俺だけにしとけよ?」 「当然!!」 亮以外の人に甘えるなんてそんなこと、考えられない。 だって私は・・・亮が大好きなんだもん。 ******************************************************************* 楠乃楓様へのキリリク創作です。 宍戸さん・・・諦めて他キャラにしようかと思ったのですが・・・ 管理人、チャレンジャーになりました!! 初、宍戸さん個人夢です・・・ リクエストありがとうございましたv |