* 紫陽花と虹と幸せな時間 * 「虹か・・・」 空に浮かぶ虹を見て、あの人思い出した。 きっと彼女は喜ぶ。 虹ひとつできっと・・・ あの、俺の好きな笑顔を見せてくれるだろう。 「若?」 「先輩・・・」 「偶然ね、どうしましたの?」 「今、先輩を迎えに行こうと思っていたんですよ。」 「それは・・・どうして?」 「この虹をあなたと見るためです。」 「まぁ・・・それは素敵なことね。」 「俺のために、先輩の時間をいただけますか?」 「えぇ、喜んで・・・・・・でも。」 「でも?」 「私のためにも、若の時間をいただけるかしら?」 「俺の時間を、ですか?」 「そう、若の時間をいただきたいの。」 「もちろん、構いません。」 俺の時間でよければ・・・ あなたのために俺の時間が使われるのなら、それはすごく嬉しいことで・・・ 先輩と過ごす時間になるのなら、なおさら。 「紫陽花、ですか?」 「そう、とっても綺麗でしょう?」 雨雫に濡らされた紫陽花。 美しさを一層増している。 先輩が綺麗と言う気持ちはわかる。 でも・・・・・・ 「でも、あなたの美しさには敵いません。」 「え・・・?」 「紫陽花よりも先輩のほうが・・・俺は綺麗だと思います。」 ”俺は”と強調する。 最も、それは俺しか思わないわけではない。 誰もが先輩のほうが綺麗だと言うはずだけど・・・ 今は、俺だけを思って欲しいから・・・ 俺だけの言葉でありたいと願ってしまう。 「ありがとう、若。若のその言葉、すごく嬉しいわ。」 「先輩・・・」 「この空の虹よりも・・・若の方が素敵ね。」 「え?」 「若の方が綺麗よ。」 「・・・・・・ありがとうございます。」 「それに・・・私はこの綺麗な虹や紫陽花よりも、若の方が好きだもの。」 素直に嬉しいと思える言葉。 先輩からの好きの言葉。 その一言が俺を幸せにする。 幸せな時間を与えてくれる。 全ては先輩が・・・ あなたと過ごすこの時間が俺の一番幸せな時間。 「俺も、何よりも先輩のほうが好きですよ。」 ******************************************************************* 日野あけび様へのキリリク創作です。 若とヒロインさん・・・ 相変わらずほのぼのしています。 タイトルの通り、虹と紫陽花と幸せな時間なのです。 リクエスト、ありがとうございました。 |