* 女神様の貫禄 *
珍しいものを見た。
俺を怖がらない瞳。
「何やってるのよー!!」
大声で駆け寄ってくる女。
「先輩、来たら危ないって・・・」
「血だらけの人が何を言ってるのよ!!」
「怪我させたくない。」
「・・・バカ。」
「・・・。」
「そこの人!」
「何だよ。」
「山吹の制服ね!」
「だから何だっつーんだよ。」
「うーん・・・キヨによろしくv」
「はぁ?」
「だって山吹でしょ。」
「・・・。」
「あっ名前くらい名乗るべきだよ。」
「亜久津仁。」
「仁ね。」
いきなり呼び捨てで呼び出す女。
瞳に恐怖の色はない。
「リョーマに怪我させたこと、許さないからね?」
「お前がやられたいのかよ。」
「まさか。」
「都大会決勝まであがってこい。」
「当然よ。」
面白いヤツを見つけた。
負けん気の強い女。
「、何があった?」
「秘密。」
「・・・。」
「やられた時はやり返せ、でしょ?」
「・・・。」
「私は何もやられてないし、リョーマの怪我もそこまでひどくないわ。
だから・・・心配しないで、国光。」
「・・・わかった。」
「ちなみに私は何もする気はないから。」
「お前が手を出すことじゃない。」
「そう、全部リョーマの問題。
それに・・・リョーマ私が手をだしたら怒りそうだし。」
「そうだな。」
「期待のルーキーも大変ね。
ただでさえ、青学はメンバーが濃いのに。」
「それを纏める俺の気持ちにもなれ。」
「本当に頑張ってるよね、国光は。」
「お前もだ。」
「労いのお言葉ありがとうございます。」
「青学1年、越前リョーマ。」
「もう、リョーマ!」
「先輩はいいんすか?自己紹介しなくて。」
「あっする。
青学3年、・・・よろしくね?」
3年・・・?
この女3年だったのか・・・?
みえねぇ・・・
「今見えないって思ったでしょう!」
「・・・チッ」
「別にいいわよ、慣れてるし。」
「・・・変な女。」
「ありがとう。」
「・・・。」
「はい、これあげる。」
「あ?」
「イライラしてる時は甘いものねv」
袋詰めされた飴。
「捨てるくらいなら、キヨにあげてね。」
「・・・。」
「都大会決勝で逢いましょう。」
強い瞳の女。
こいつが千石の言ってた”勝利の女神”
そう確信した。
女神と呼ばれるのに相応しい瞳。
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