* 遠い存在 *











「はいはい!俺、切原赤也!」


「えっと・・・それは知ってるよ、赤也くん?」


「あっそーでした。」


「仁王雅治じゃ。」


「・・・仁王、雅治さん。」


「雅治でよか。」


「うん、・・・雅治くん。」


「丸井ブン太!シクヨロ!」


「丸井、ブン太さん・・・。」


「ブン太でいいって!」


「じゃあ、ブン太くん。」


「柳蓮二だ。」


「柳蓮二さん・・・。」


「好きなように呼んでくれて構わない。」


「蓮二くん・・・。」


「柳生比呂士です。」


「柳生比呂士さん。」


「はい、呼びやすいようにどうぞ。」


「比呂士くんね・・・。」


「ジャッカル桑原だ。」


「ジャッカル、桑原さん・・・。」


「ジャッカルでいい。」


「うん、ジャッカルくん・・・。」


「真田弦一郎だ。」


「・・・真田、弦一郎さん。」


「あっ!真田副部長!そんな怖い顔してたら怖がられちゃいますって!」


「そ、そうなのか・・・?」


「ううん、大丈夫・・・えっと、弦一郎くん?」


「あ、ああ・・・。」


「えっと・・・私、全然自分のことも何も覚えてなくて・・・ご迷惑かもしれませんが・・・

もしよければ・・・また、お話してもらえますか?迷惑だったら断ってくれて全然構いません!」


「迷惑なわけないだろー!」


「そうじゃよ。」


「ありがとう・・・。」


「ねぇー俺アンタのことなんて呼べば良い?」


「え、えっと・・・名前でいいよ?」


「じゃあさんね♪」


「あの、みなさん私のこと知ってるようでしたし・・・その、もし名前を呼んで下さっていたならいつも通りに呼んでくださいね?」


「と言ってものぉ・・・俺たちはちゃんと知ってるわけじゃなかよ。」


「え?」


「話をしたのは初めてだな。」


「初めて、ですか?」


「ずっと遠くから見てたからなー。」


「遠く・・・?」


「今日、話すことができて嬉しいですよ。」


「あの、じゃあ・・・もしよければ・・・名前で呼んでください。」



さんは天使の微笑を俺たちに向けた。

あっ思い出した・・・。

俺はさんを見ていた、公式戦の会場で。

氷帝の奴らの中にいるさんを見ていたんだ。

この微笑を。

遠い存在だった憧れの人。

でも今は違う。

俺を見てくれる。

名前を呼んでくれる。




















ケッシテトオイソンザイデハナイ。




 







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