* 天使の片翼 *
「・・・ん・・・」
目が覚めたらそこはいつもの病室だった。
私が入院している病院の病室。
「さん、大丈夫っすか?」
心配してくれる赤也くん。
「・・・赤也、くん?」
「よかったーいつものさんだー。」
「え?私・・・立海に行って赤也くんと帰ってきたのは覚えてるんだけど・・・途中まで。」
「・・・。」
「何か、あった?」
「・・・・・・跡部さんたちに会いました。」
「跡部さん?誰?赤也くんのお友達?」
「・・・氷帝の、テニス部の人たちっす。」
氷帝?
テニス部?
「・・・っ!」
「さん?!」
「ごめん、ちょっと頭が痛いだけ・・・」
ダメ、考えると頭がガンガンする。
思い出したくないと叫んでいるように・・・。
「無理しちゃだめっすよ?」
「・・・うん、ありがと。」
「もう大丈夫っすか?」
「大丈夫だよ、ごめんね・・・もしかしてずっと一緒にいてくれた?」
「だって心配だったから・・・。」
「ありがとうね。」
「じゃあ俺帰るっすね!」
「うん、本当にありがとう。」
「また来ますから!」
「・・・無理はしないでね。」
「それはこっちのセリフっすよ!」
「気をつけてね。」
「はぁーい!」
誰かに声を掛けられたような気がする。
誰かはわからない。
でも、確かに名前を呼ばれた・・・。
「さてと、跡部さんたちのところ行かなきゃなー。」
面倒だけどこれもさんのため。
さんのためなら仕方ない。
「あっ俺、切原っす!今どこにいるんすか?」
「氷帝だ。」
「げぇー遠いじゃん。駅まで来てくださいよ。」
「・・・わかった。」
「じゃあ駅前のファミレスで待ってるっす。」
訊きたいことがある。
さんと跡部さんたちの関係。
「もしもし、真田副部長?今から駅前のファミレスに来てくれません?先輩たちも一緒に。」
まだ部活をやっているだろう先輩たち。
俺だけで話を進めるわけにはいかない。
「さん・・・大丈夫かな・・・。」
あの取り乱し様。
あの人は震えていた。
あれは本気で怖がっていた。
シアワセナケツマツデアッテホシイトオモウ。
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