* 全てのものを惹きつける微笑 *










です。」



4月の始業式。

見知らぬ名前があった、それがこの女。



「3月までは立海にいました。とりあえずよろしくお願いします。」



新学期によくある光景。

自己紹介。

その時、隣の女がその見知らぬ名前の女だということを知った。




















「おい。」


「・・・。」


「おい、お前!」


「・・・。」


!」


「はい、何?」



普通の女なら最初の一言で振り返る。

もちろん俺に気持ち悪いくらいの笑顔を向けて。

でも、この女は違った。



「・・・。」


「用がないなら呼ばないで。それと、私は”おい”でも”お前”でもないから。」


「・・・・・・気に入った。」


「名前で呼ばない限り振り向かないわよ。」


「呼んでやろーじゃねーか、ちゃんよぉ。」


「軽い男は嫌いなの。」



この女、言いやがった。

普通の女なら名前を呼ばれるだけで・・・・・・この女は普通じゃない。

フッ・・・気に入ったぜ。



「って言うか、アンタ誰?」



教室が静まり返った。

コイツ・・・自己紹介訊いてなかったのかよ。



「ちなみに名前を言わない限り一生アンタはアンタになるわよ。」


「・・・跡部景吾だ。」


「・・・あっ思い出した。とーっても派手で意味のわかんない自己紹介をしてた隣の人間ね。」


「・・・・・・。」


「で、その派手好きであろう跡部景吾さんが何か用?」


「マネージャーやらねぇーか?」


「ちなみに何部?」


「テニス部。」


「・・・男子?」


「当たり前だろ。」


「・・・。」


「お前に拒否権はないぜ。」


「はぁ?」


「お前だろ、立海からうちの監督にスカウトされた奴って。」


「たろーちゃんね・・・(怒)」


「今日の放課後テニスコートに来いよ。」


「嫌。」


「言ったはずだぜ、お前に拒否権はない。」


「そんなの知らないわよ。」


「・・・。」


「私の本性を知らない奴らのところに簡単に行くはずないじゃない。」


「本性だと・・・?」


「そうよ。」



にっこり。

目の前の女はさっきの言動に似合わない微笑を見せやがった。

全てのものを惹きつける微笑。



「もしアンタが本当に私をマネに望むのなら・・・私の本性を暴けばいいわ。

っというか、私がアンタのことを気に入れば簡単に本性も見せるけどね・・・。

でも、私はアンタが今まで付き合ってきたような普通の女とは違うから。甘く見ないでよ。」



この女はもう一度あの微笑を見せた。




 







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