* 瞳を見ている人 *
「おい、!」
「んー?」
「送ってやる。」
「え?」
「跡部せんぱぁーいv」
な、何?
黄色い声って言うのかな、こういうの。
「今日は跡部先輩と一緒に帰りたいですぅv」
「・・・・・・。」
「な、なんかお取り込み中?」
「あっ確か先輩ですよねぇー?」
「え、えぇ。」
「男子テニス部の決まりなんですよぉ。マネは誰かと一緒に帰るって。」
「そうだったの?」
「私、跡部先輩と帰るのでーv」
「はぁ・・・。」
なるほど。
駄目だわ、私にはついていけない!
それよりも・・・けーちゃん本当はまだ練習したいんじゃないの?
そんな顔してるよ?
「跡部先輩v帰りましょうーv」
「よくわかんないけど、ばいばい?」
「あぁ、また明日な。」
「うん、また明日ね。」
よくわかんないわ、氷帝テニス部。
とりあえず・・・
「亮ちゃんー!」
「・・・なんだ?」
「あからさまに嫌そうな顔しないでね!邪魔する気はないの、ひとつだけ教えて!
あの甘ったるい声は何?!マネは誰かと一緒に帰るって何?!説明して頂戴!」
「あぁ・・・練習で結構遅くなるだろ?」
「うーん、そう?」
「・・・それでマネはいつも誰かを誘って一緒に帰るんだ、危ないから。」
「ふーん・・・ちなみに部員に拒否権はないんだ。」
「あぁ。」
「そうだよねぇーけーちゃん嫌そうだったし。」
「お前誰も誘ってないのかよ。」
「・・・お前じゃなくて!」
「・・・は誰も誘ってないのかよ。」
「うん、そんなこと知らなかったし。」
「じゃあ送ってやろーか?」
「いいの?」
「あぁ。」
「でも、まだ練習したいって顔してるぞ☆」
「・・・。」
「うーん・・・ちょっとたろーちゃんに話しつけてくる!もしよかったら待ってて?
練習しててくれて構わないから。もちろん、私は亮ちゃんのキリの良いところまで付き合っちゃうしv」
「たろーちゃん!」
「・・・またか。」
「悪い?!」
「いや、用件は何だ?」
「あの、マネと一緒に帰らなきゃいけない制度廃止を訴えます!」
「・・・また、突然どうしてだ?」
「だって、まだ練習したいって顔してるじゃないですか。」
「・・・よく見ているな。」
「それを見越してスカウトしてくれたんでしょ?」
「あぁ、そうだったな。」
「廃止してよね?」
「・・・わかった、明日部員に伝えよう。」
「たろーちゃんが話がわかる人でよかった!」
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