* 怯えた瞳 *
「・・・ぅん・・・っ」
「あっ起きたね、大丈夫?」
目の前に広がる明るい光。
「おーいっ!起きてる?」
「・・・・・・オレンジ・・・。」
「オレンジはヒドイなぁ、まぁわかるけど。(笑)」
「・・・ごめんなさい。」
「あっ謝んないでいいよ。俺は千石清純ね。キヨでいいよ。君は?」
「えっと・・・、です。」
「・・・ちゃんだね。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・ごめん。本当は、俺、君のこと知ってるんだ・・・。」
知ってる?
知ってる?
知ってる?
知ってる?
知ってる?
「氷帝のちゃんだよね。今は立海みたいだけど。」
「・・・・・・。」
「何があったのかも、知ってるんだ・・・ごめん。」
謝らないで。
私の罪を裁いて・・・
「ちゃん!」
意識を失ってしまった彼女。
今、俺に何ができる?
俺には彼女を家まで送ってあげることも出来ない。
誰かに頼るしかない・・・。
携帯を取り出して電話を掛ける。
今、頼れるのは彼しかいない。
「あっもしもし、跡部くん?俺、千石だけど・・・今、ちゃん預かってるんだ、俺の家で。
悪いけど・・・・・・君たちのお姫様迎えに来てあげて。
別にね、俺の家にずっといてもらっても全然構わないんだけどね。」
「・・・・・・わかった。」
「ありがとう。」
「・・・はどうしてるんだ?」
「意識を失ってるよ、だから大丈夫。」
「今すぐ行く。」
短い応答。
それだけでも彼の気持ちがわかる。
彼は・・・彼らは本当に俺の目の前の少女を愛している。
俺は?
俺はどうなのかな?
まだ、わからない。
「何処行くん?」
「千石の家だ。」
「千石?」
「・・・あぁ。」
「何があったん?」
「を迎えに行くんだよ。」
「・・・・・・行って大丈夫なん?」
「今は意識を失ってるらしい。」
「何やて?!」
「・・・・・・。」
「姫さんもやけど・・・跡部は大丈夫なん?」
「俺様を誰だと思ってんだ?」
「強がっててもわかるで、無理しんときや。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
「それでも、迎えに行ってやんねぇーといけねぇーんだよ。」
「・・・そうやな。ホンマは俺も行きたいけど、今日は我慢しとくわ。」
「悪いな。」
「とりあえず、アイツ等のことは任しとき。」
「あぁ、頼む。」
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