* 大切な存在 *
「あっ仁王先輩ー!」
あの目立つ髪の色が見えたと思ったら・・・・・・。
先輩たちがいた。
あの真田副部長も。
柳先輩も。
ジャッカル先輩も。
柳生先輩も。
「お前から電話あったじゃろ、こいつらも行くって訊かんのじゃ・・・(苦笑)」
「そーっすか。」
丸井先輩じゃないけど、なんかやっぱ俺も嬉しい。
ここにいる先輩たちはみんな先輩を想ってるってこと。
それがすごく嬉しい。
「はどうしてるんじゃ?」
「とりあえず今は丸井先輩といるっす。結構元気っすよ。」
「そりゃ帰るって言うくらいじゃからな。」
何となく仁王先輩の瞳が優しかった。
珍しいこともある。
多分先輩限定なんだろーなー。
「ちゃん元気かなー?」
なんて呑気に考えてる俺がいた。
でも、すぐにそんな気持ちを吹き飛ばされた。
目の前にいる人たち。
この前話をした、氷帝の人たち。
「こんなところでみんなお揃いで何をしているんだいー?」
「・・・千石か・・・。」
今のこの人たちはかなり暗い。
理由はすぐわかった。
きっと・・・ちゃんに逢ったんだ。
しかも、偶然に。
「ちゃんに逢ったんだね。」
「あぁ、そうや。」
「ちゃんはまだ自分を責め続けてるんだね。」
「うん・・・やっぱり俺たちがちゃんを壊しちゃったんだね・・・。」
「それは君たちだけじゃないよ。君たち氷帝だけじゃない。」
「青学、か・・・。」
「うん、そっちの方も解決しなくちゃね。」
多分、そっちの方が難しい。
氷帝はまだ・・・ちゃんを愛する気持ちがあった。
だから、道標さえあればどうにかなる。
でも・・・青学は違う。
あるひとりを除いては・・・ちゃんのことをちゃんと知っている人が居ない。
「確かに君たちもちゃんを壊したけどね・・・まだ迷いがあったから。」
「そうだねー俺たちは迷っていた・・・愛しい存在を傷つけちゃうことに。」
「でも、彼は違う。出来ればまだ逢わせたくないね。」
「千石。」
「何かな、跡部くん?」
「俺たちに出来ることはあるか?」
跡部くんたち氷帝に出来ること。
君たちはどうしてそれを俺に訊くの?
俺に訊いても意味がないと思うよ?
でも・・・彼らはまだちゃんとした道を見つけていない。
心は決まってもまだ、道がない。
時間が必要なんだ、彼らには・・・・・・。
「自分たちが歩くための道を見つけておきなよ。
もちろん、その道はちゃんも迷うことなく歩けるような道にしてあげてね。」
「あぁ。」
ちゃんが俺を神様と言った。
だから俺はちゃんの神様になってあげる。
ちゃんを消すことも裁くことも出来ないけど・・・。
あたたかな手を差し延べてあげる自信はあるからね。
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