* 伝えなきゃいけない言葉 *










テニスコートの傍に女の子がいた。

一度だけ、英二が見せてくれた写真で見たことがある女の子。

確か名前は・・・ちゃん。





















『じゃーん!この子が俺の彼女!』



英二が指差す先には女の子。

どうやらこの子が英二の彼女らしい。



って言うんだ!美人だろ?』


『うん、綺麗な子だね。』


『だろー!!』


『彼女は氷帝に通ってるの?一緒に跡部達が写ってるし。』


『うん、しかもテニス部のマネ!あっ手塚ー!見て見て!俺の彼女彼女!』


『・・・?!』



突然手塚が訊いたことも無い名前を口に出した。

手塚が女の子の名前を言うなんて珍しい。



『何だぁー?手塚知ってるのかにゃ?』


『菊丸はと付き合ってるのか?』


『違うにゃ!俺の彼女はこっち、!』


『・・・そうか。』


『こっちの女の子がちゃん?』


『そうだにゃ!ちゃん、ちゃんはの親友なんだって。』


『で、手塚とはどういう関係なの?』


『・・・・・・昔付き合っていた。』


『えぇー!!』


『へぇー手塚でも女の子と付き合ったことがあるんだね。』


『でも昔ってことは今は付き合ってないのかにゃ?』


『あぁ・・・・・・。』


『手塚はまだ好きみたいだね。』




















英二の彼女の親友で、手塚が昔付き合っていた女の子。

・・・でも、英二の彼女は死んだ。

何があったかは跡部達から聞いた。




















が死んだ。』


『な、何でだにゃ?!』


『・・・姫さんを庇ったんや。』


『なんでが死ななきゃいけないんだよ・・・!!』



部室中に響き渡る英二の声。

恋人を失った悲しみ。

あの少女に対する怒り。

恨み。



『・・・俺たちは失礼する。』



跡部達もそれ以上何も言わなかった。

でも、空気が悪いと言うことはわかった。

それはきっとあの少女にとっても。



・・・・・・。』



英二の一言で部室中にあの少女に対する怒りの感情が生まれた。

それはたった一瞬のことだけれど・・・・・・。





















「・・・何をしているのかな?」


「あ、・・・あの、菊丸くんを呼んで頂けますか?」


「英二なら水道の方じゃないかな?水飲みに行ってくるって言ってたから。」


「そうですか・・・・・・。」



英二はまだ・・・彼女を恨んでいるのだろうか?

でも、きっと英二もわかっている。



「ありがとう、ございます。」



軽く会釈をして行ってしまう。

僕は本当に彼女を行かせてしまってもいいのだろうか。




 







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