* 優しい女神様 *










やっぱり俺は餓鬼かもしれない。

我侭な餓鬼だ。




















さんの手を引いて黙って歩く。

黙ってついて来てくれるさん。



「すいません。」


「ううん、じゃあお話しよ?」


「・・・。」


「ゆっくりでいいから、赤也のペースでね。」


「ただ、逢いたかっただけっす・・・」


「私に?」


「はい。」



さんは怒るかもしれない。

貴重な休み。

俺の為に使わせてしまった、ただ俺の我侭だけの為に。



「そう、何か嬉しいな。」



さんからの答えは意外なもので、俺は唖然とした。

ああそうだ、この人はこういう人だ。



「せっかくだし部活のあとご飯食べに行こうか?」


「俺奢ります!」


「じゃあ練習終わるの待ってるね。」



この人は本当に優しい人。




















「どうしてこうなるんすか・・・」



目の前にはさん。

それはいい。



「悪いなー俺たちまで!」


「何で先輩たちまでいるんすか?!」


「赤也の奢りらしいからな。」


「悪いのぉー。」



俺の横には丸井先輩と柳先輩。

先輩の横には柳生先輩と仁王先輩。



「俺が奢るのは先輩だけっすからね!」


「えぇー!!」


「ふふ、ありがとうv」


「良いじゃん、俺も俺も!!」


「ダメっす。」



それに普通は先輩が奢るもんでしょ。

さんは別だけど。



さんー好きなもん頼んでくださいね!」


「うーん・・・。」


「これなんてどうでしょう、美味しそうですよ。」


「うん、じゃあこれにする。」


「オーダーお願いします。」



柳生先輩!

勝手に話を進めないで下さいー!!



「ドリンクも追加じゃ。」


「私アイスティー・・・あっ赤也良い?」


「いいっすよ!どんどん頼んでください!」


「ありがとv」


「ずるいー!!」


「丸井くん、後輩に集るのは良くないですよ。」


「じゃあ柳生!」


「ダメです。」


「仁王ー。」


「ダメじゃ。」


「柳ー。」


「無駄だ。」


「何でだよー!!」


「諦めろ。」


さん、これも美味そうっす。」


「本当だぁvv」


「食べます?!」


「いいの?」


「もちろんっす!!」


「やったぁv」



とても年上とは思えないあどけない笑顔。

でもそんな笑顔が好き。

俺はさんが好き。




 







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