* 夏の日の想い出 *
ああ、そうね。
あなたはいつまでも見守ってくれるのね。
『、これからもいつものでいてね。』
手を振って分かれた。
明日死ぬあなたと。
『優しいあんたでいて。
みんなに笑顔を与えてあげれる存在でいて。』
あなたの最後の言葉。
「ねぇ・・・私、約束守れてるかな?」
私は優しい?
みんなに笑顔を与えてあげられてる?
「さすがにそれはわからないからなぁ・・・」
誰か教えてくれるといいのに。
そんなこと思ってしまう。
「やっぱりには生きて欲しかったなぁ・・・
本当はね、私最初はのこと怖かったんだよ。
人殺しだってみんなが騒いでいたから。」
でもあなたは違った。
違うと思った。
だから言ったの。
『は人を殺してない、人殺しじゃない。』
そう言った私にあなたは本当のことを話してくれた。
自分は人殺しじゃないと。
私は信じた、あなたの言葉を。
周りからは暴言を吐かれていた、私にじゃなく、あなたに対する。
私をあなたから引き離そうとする人もいた。
それでもあなたは気にする素振りを見せなかった。
私もあなたから離れなかった。
『あたしは気にしない。がいるから。』
強いと思った。
羨ましかった、その強さが。
近づきたかった、少しでも・・・憧れだった。
「私、に逢えて良かった・・・
もうここに来るのもこれが最後。約束したもんね。」
『私が死んで2年間は命日に墓参りに来てよね。
それ以降は来ないで、忘れていいから。』
「でも矛盾してるよね・・・忘れないでって言いながらも忘れていいからなんて・・・」
約束したからもうここには来ない。
でも、あなたのこと忘れない。
「私は忘れないから・・・」
あなたのお陰で今も私は私でいられるの。
あなたに逢えて良かった・・・
すべては初夏の思い出。
過去は振り返らない。
でも、忘れたりはしない。
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