* 頑張れる理由 *
あなただけは。
俺を見てくれました。
「裕太!」
「先輩・・・」
「ふふ、“先輩”はなしでもいいのよ。」
「じゃあさん。」
「うん、それでよろしい。」
「お久し振りです。」
「お久しぶり、元気だった?」
「はい。」
「次は裕太のところとの試合だね。」
「・・・はい。」
「一応、私は青学のマネだから試合中には応援できないわ。」
「はい。」
「だからここで応援するね。頑張ってね、裕太!」
「ありがとうございます。」
さんだけだった、青学で俺を・・・
不二周助の弟として見ないのは・・・
『きゃ!』
『あっすみません。』
『ううん、大丈夫。
あっ君は大丈夫?』
『大丈夫です。』
『・・・あれ?君どこかで見たような・・・』
『。』
『周助。』
『あれ?裕太も一緒だったんだ。』
『裕太?』
『兄貴・・・』
『え?!兄弟?!』
やっぱりこの人も俺を不二周助の弟と扱うんだろう。
天才不二周助の弟・・・
『まぁ、そんなこと関係ないわ。
初めまして、私は、テニス部のマネやってます。』
最初に関係ないと言われた。
それが嬉しかった。
『不二、裕太です。』
『裕太ね、よろしく。』
『よろしくお願いします。』
『裕太はテニス好き?』
『はい。』
『じゃあ頑張ってね。』
あくまでもさんの中では兄貴は関係なかったようだ。
だから俺がルドルフに行く時も・・・
『裕太行っちゃうのね。』
『はい。』
『・・・きっとルドルフに行けば裕太はすごく強くなれるわ。
ここでは・・・ここでは裕太は名前に負けてしまうから。』
『・・・。』
『でもね、テニスに兄弟は関係ないでしょ?』
『はい。』
『あなたが周助の弟であろうとなかろうと・・・あなたはあなたなんだから。
名前に負けたりしないで、不二裕太という素敵な名前を大切にしてね。』
『・・・はい。』
『頑張ってね。』
『ありがとうございます。』
いつも俺に優しかった。
兄貴の存在抜きで、俺に接してくれていた。
「試合中、応援は出来ないけど見てるからね。」
「はい。」
「あと、リョーマは周助並みに強いわ。
だからきっと楽しい試合になる、自分を信じてね。」
「さん。」
「なぁに?」
「ありがとうございます。」
「どう致しまして。」
越前リョーマとの試合。
結局は負けたけど・・・いい試合だった。
「裕太、はい。」
「・・・飴ですか?」
「そう、疲れたときには甘いものでしょ?」
「ありがとうございます。」
「周助の試合一緒に見よ?」
「はい。」
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