* さよならは言わない *










さよならは言わない、絶対に。

だから・・・帰ってきてね。


















「国光。」


「・・・。」


「行くのね。」


「ああ。」


「お見送り、私も行くからね。」


「・・・ああ。」


「国光がいないテニス部なんて考えられないよ・・・」



私がマネージャーになったのは国光のお陰。

あの時国光に話しかけなかったらきっと・・・

マネージャーになってなかった。

みんなと知り合うこともなかった・・・。



「私ね、国光に感謝してる。」


「どういうことだ?」


「国光がいなかったらみんなと仲良くなれなかったもん。」


「・・・そうか。」


「だからね、本当にありがとう。」


「・・・。」


「なんか最後のお別れの挨拶みたいだね。」


「そうだな。」


「でも、ふたりでお話できることなんてもうないだろうから・・・」



あなたは行ってしまうから。

遠い地へ・・・



「でもそれは永遠じゃないよね?」


「ああ。」


「またすぐに逢えるよね?」


「ああ。」


「連絡、頂戴ね?」


「わかった。」


「私からも・・・電話とかメールとかしても良い?」


「構わない。」


「ありがとう。」


。」


「なぁに?」


「俺の代わりに・・・あいつらを支えてやってくれ。」


「私なんて役不足だよ・・・」


「大石だけではきっと重荷になる。」


「うん・・・。」


「だから・・・に任せたい。」


「うん・・・。」


「それに俺がいない分の穴はあいつらが埋めるだろう。」


「リョーマと桃城くんと海堂くんだね。」


「ああ。」


「頼りになる後輩たちだね。」


「そうだな。」


「まだまだ言いたいことがいっぱいだけど・・・それは明日にするね。」


「・・・ああ。」


「私ね、ひとつだけ決めたことがあるの。」


「何だ?」


「絶対に泣かない。」


「・・・ああ。」


「泣かないから・・・」


「ああ。」


「今は泣かせて。」



抱き寄せてくれる国光。

頭に触れる大きな手。



「国光・・・っ」



優しい優しい国光。



「国光がいたから・・・みんな安心できたんだよ・・・っ」



頼りになって・・・

自分にも、みんなにも厳しい・・・

青学の・・・部長。



「早く・・・帰ってきてよね・・・っ!」


「ああ。」


「絶対に全国行くから。」




 







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