* 氷の城に迷い込んだ姫君 *
「正レギュラーと準レギュラー集合。」
話しておくべきだと思った。
少なくとも、青学と関わる可能性のある奴らには。
「、話せるか?」
「大丈夫。」
直接、が何を言われてきたのかはわからない。
そのことについては話さなかったから。
別に訊きたいわけでもない。
「えっと・・・私は青学の男子テニス部のマネージャーをしていました。
でも・・・あそこには私の居場所なんてなかったんです。だから逃げました、ここに・・・。」
気づいた。
こいつは俺たちに嫌われようとしている。
関わらないように、逃げようとしている。
「みんな綺麗なマネージャーのほうがいいですよね。
だから、私はマネージャーにはなれません。誘ってくれた景吾には本当に感謝してる。」
逃げ道を必死になって捜している。
「私は弱いから、優しいあなたの手をとってしまった。優しさに甘えたかっただけで。」
「別にかまわねぇーよ。」
「え?」
「甘えろよ。」
「景吾・・・?」
「俺が甘えていいって言ってるんだぜ?」
「なんや、跡部ずるいわー!俺にも甘えてな♪」
「俺も俺も!」
「・・・・・・。」
言い出したのはこいつらだけでも・・・
ここにいる全ての奴らが同じ気持ちだろう。
それだけの価値がにはある。
「・・・どうしてここはこんなにも優しい場所なの・・・?」
「言っただろ、ここにお前を傷つけるヤツはいない。」
「・・・・・・ありがとう。」
『ありがとう。』
何度も何度も繰り返される言葉。
「本当に・・・ありがとう。」
「あっそうだ!俺まだ名前言ってない!俺は芥川慈郎、ジローって呼んでね♪」
「滝萩之介、好きなように呼んでくれて構わないよ。」
「鳳長太郎です!よろしくお願いします!」
「・・・宍戸亮だ・・・よろしくな。」
「・・・・・・ウス。」
「日吉若です。」
相変わらず頷くことしかできていないが・・・
きっとこいつらには伝わっている。
「、ドリンクでも用意してろ。」
「え?」
「俺はこいつらに話がある。」
多分気づいている。
さっき俺が聞いたことをこいつらに話すということに。
「・・・お願いします。」
許可は得た。
あとはこいつらがどう感じるか・・・。
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