* 氷の城に迷い込んだ姫君 *
「・・・やっぱり・・・私に話させて。」
「大丈夫なのか?」
「大丈夫。」
まだ出逢って1日しか経っていない。
話したのも数分。
それなのに・・・大切なものになっていた。
「この場所は優しいから・・・。私はここにいたいの。」
『初めまして、って言います。』
『初めまして、私はです。』
『え?さんってテ二部のマネなの?』
『うん。』
『いいなぁー私もマネやりたいな。』
『さんなら運動神経もいいし、頭もいいからきっと国光も気に入ると思う。』
『ほんと?よし、早速行って来る!』
『行ってらっしゃい。』
いい子だと思ってた。
人当たりもよくて、綺麗で・・・。
『というわけで、マネージャーになりたいの。』
『マネージャーはとらない。』
『どうして?』
『うちにはマネージャーがいる。』
『さんでしょ?』
『知ってるのか?』
『だって私、さんと同じクラスよ。』
『・・・。』
『私、運動神経もいいし、役に立つと思うな。』
『・・・。』
『試しでもいいからやらせてよ。』
『わかった、今日試しにやってみろ。決断は俺がする。』
『了解、よろしくね、手塚くん。』
『です。』
『マネージャー希望者だ、今日は試しに入ってもらうことになった。』
みんな言ってた口々に『綺麗』だって。
本当にさんは綺麗・・・。
『国光、綺麗でしょ?さん。』
『・・・。』
『ほら、もうみんなさんに夢中v』
『俺は・・・お前以外のマネをとるつもりはない。』
『ありがとう、でも・・・みんなさんを求めてる。』
『手塚ー!ちゃんマネージャーにしようよ!!』
『ねっ?』
『・・・・・・。』
『みんなさんを求めてるもん、部員の期待に応えるのも部長の仕事でしょ?』
『・・・。』
『さて、私もお仕事に戻ります。』
『ああ。』
さんはその日のうちにマネージャーになった。
みんなに認められて。
『それじゃあ皆さん、今日からよろしくね!』
綺麗な笑顔で挨拶するさん。
私はそんなさんが羨ましかった。
『ちゃんに応援してもらうと元気になるにゃー。』
『そーっすよね、先輩綺麗だし♪』
そんな言葉をよく訊くようになった。
別に気にならなかった。
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