* 護るべき存在 *










無性に腹が立った。

日吉にではなく、自分自身に。



「景吾ー?」


「どうした?」


「元気ない?」


「・・・。」





ぎゅっ


に抱きつかれた。



「景吾元気ないみたいだから、私の元気をあげる。」


「・・・。」


「私も若にもらった元気だけどね、景吾にもお裾分け。」


「・・・悪いな。」


「いえいえ。景吾が元気ないとみんななんかおかしいもん。」


「そうなのか?」


「うん。」



よく見ている、本当に。

周りのことも、俺自身のことも。



「だから、元気だしてね?」


「・・・ああ。」



手離した青学の奴らは馬鹿だ。

こんなにも俺たちのことを見ているマネージャーを手離すなんて。

それも傷つけて・・・。



「私今から買出しに行くけど・・・何かほしいものある?」


「切れかけている物も補充を頼む。」


「了解。」


「ひとりで行くのか?」


「うん、みんな忙しそうだし。」


「・・・気をつけろよ?」


「大丈夫、今の私だったら誰も気づかないって。」


「そうだな。」


「前の私とは外見的には変わったんだもん、だから大丈夫。」



確かに変わった。

それでも、気づくヤツは気づくかもしれない・・・。

また、を傷つける可能性もある。



「・・・。」


「何か合ったらすぐに連絡するからね?」


「・・・ああ。」


「じゃあ行って来ます!」




















どこいったん?」


「買出しだ。」


「ひとりで大丈夫なん?」


「・・・。」


「心配そうやな。」


「・・・。」


「まぁ大丈夫やろ、は変わった。誰も気づかへん。」


「そう思うか?」


「普通は思うで。」


「・・・。」


「まぁも考えて行動するやろ。」


「そうだな。」


「ホンマに心配性やな、跡部は。」


「仕方ねぇーだろ。」


「守るって決めたもんな。」


「ああ。」


「俺だってのこと好きやし、守ろうとしてるんやで。」


「・・・ああ。」


「大丈夫やって。心配しすぎんとき。」


「・・・。」


「ほら、練習再開すんで!」


「ああ。」



心配するのもええ。

でもな、は守られてるだけのお姫様じゃないで。

自分で何とかしようとしてる。

でもそれは・・・俺たちの、跡部の支えがあってからこそや。



「そんな顔してるとまたが心配すんで?」


「そうだな。」



俺だって守るって決めたんや。

あの姫さんは弱いけど強い。




 







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