* 二度目の逢瀬 *










「そういえば今日、部活は?」


「休みっす。」


「そっか、変わってないんだね。」


さん。」


「ん?」


「俺はアンタを守りたい。」



手塚部長や不二先輩みたいに。



「・・・そんな価値のある人間じゃないわ。」


「俺は決めたから。」


「でもね、やめたほうがいいと思うよ・・・青学の、しかもテニス部レギュラーでしょ?」



この人は俺を守ろうとしている。

さんと仲良くすることで俺にまで非難の声があがることを恐れている。



「それでも・・・俺はアンタを守りたい。」


「ありがとう、リョーマのその気持ちだけ十分。でもなるべく関わらないで。」


「嫌。」


「リョーマ・・・。」


「アンタに俺の行動を止める権利はないんでしょ?」


「・・・。」


「俺は、俺なりにアンタを守るから。」



先輩たちにさんがどう言われようと俺は決して同調したりしない。

その代わり、さんのことを先輩たちに言うつもりもない。

ただ、傍にいたいと思った。

それだけ。



「たまにでいいから俺とも逢ってよ。」


「・・・・・・本当に、大丈夫?」


「心配しなくても、部長と不二先輩以外には何も言うつもりないし。」


「うん、じゃあ・・・逢おうね。色々教えてくれると嬉しいな、ちょっと気になるから。」


「いーっすよ。」


「あっ秘密は守ります、青学の情報流したりもしないしね。」



あの時の怯えていた顔とは違う。

俺に笑顔を向けてくれる。



「携帯持ってる?」


「うん。」


「じゃあ番号とアドレス教えて。」


「リョーマも教えてくれる?」


「もちろん。」


「ありがとう。」


さん部長とかの連絡先知ってるんでしょ?」


「うん、一応まだ消してないし。」


「一回連絡してみなよ。」


「え?」


「俺が言うよりも、やっぱりさんの口から訊きたいと思うから・・・。」



でも全てはさんが決めること。

俺が口出ししていいことじゃない。

それはわかってる。

それでも・・・笑って欲しいから。

部長の家で見た、部長と不二先輩と一緒にいるさんは本当に綺麗な笑顔だったから。



「・・・優しいね、リョーマは。」


「・・・。」


「そうだね、やっぱり私もこのままなんて嫌だもの・・・連絡する。

ここでしてもいいかな?リョーマが傍にいてくれると何か安心できるから・・・。」


「いーっすよ。」


「ありがとう。」




 







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