* 彼等の護り方 *










とりあえず、近況報告のため手塚に電話を掛ける。

面白い話が聞けたから。



「あ、手塚。」


「不二か・・・。」


「何怒ってるの?」


「・・・。」


さんと帰ったこと?」


「・・・。」


「大丈夫だよ、別にただ一緒に帰っただけ。」


「・・・。」


「それよりも、面白い話があるんだ。」


「面白い、話?」


「そう、手塚も乗らない?」


「・・・話の内容によるな。」


「じゃあ、僕が今日、さんと話したこと、話すよ。」


「ああ。」




















『不二くんと一緒に帰るなんて初めてだよねー。』


『そうだね。』


『いっつもさんと帰ってたもんね、不二くん。』


『うん、帰る方向が一緒だったからね。』



僕の本当の気持ちはと一緒に帰りたかったから帰っていた。

別に方向とかは関係ない。

でも、さんの前でそんな話をするつもりはない。



『私、不二くんと一緒に帰りたかったのにさーさんがいっつも一緒だから、誘えなかったんだー。』


さんも英二や桃に誘われてたもんね。』


『うん。』


『・・・。』


『でも、不二くんと一緒に帰りたかったんだーだから今日はラッキーだね。』


『そう、それならよかった。』



形だけの返事を返す。

僕は君と一緒に帰りたくないんだよ。



さんがいたときはさー不二くんと手塚くんはさんのものって感じだったでしょ?』


『そうかな?』


『みんな言ってたし。さんが不二くんと手塚くんを独り占めしてるって。』



違う。

むしろ、僕と手塚が毎日のようにと一緒にいた。

が独り占めしているではなく、僕と手塚がふたり占めしてるって感じ。



『私も、不二くんと手塚くんとも仲良くなりたかったのにさー。』


『・・・。』


『だからさ、これを機に仲良くしようよ。』


『別に構わないよ。』



ひとりで勝手に騙されてくれるのは構わない。

僕の本心を知らない君。



『じゃあさ、名前で呼んでよ。』


『え?』


さんのことは名前で呼んでたじゃん。』


『ふふ、それは無理かな。』


『どうして?』


『英二や桃たちを敵にまわしたくないから。』


『えぇー。』



英二や桃たちというのは口実。

君の名前を呼ぶなんて虫唾が走る。



『だから、僕は今まで通り呼ばせてもらうね。』


『・・・・・・。』




 







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