* 傷をつけた罪 *
「・・・許せなかったから。」
そうきっぱりと言うこの人は・・・何となく俺の想像と違った。
もっと違うイメージがあった。
「あの、もし宜しければ場所変えませんか?ここじゃあ通行の妨げにもなってしまいますし。」
「そうじゃな。」
「あっあっちに公園あるっすよ!」
「えっと・・・気がすむまで殴ってください。」
「「「「「「「はぁ?」」」」」」」
「わかってます、こんなことじゃ全然怒りが収まらないことも。
でも・・・少しでも、少しでも気が治まるのなら殴ってください。」
「?!」
「何いっとんねん、!」
「だってね、悪いのは私なんだもん。だから・・・」
「・・・俺、別にいいや。」
「え?」
「最初、先輩が殴られたって訊いて俺、絶対殴った奴に仕返ししようと思った。」
「それなら・・・」
「でも、今アンタ見て・・・どうでもよくなった。」
何となく、この人も何か考えているような気がしたから。
この人が何も考えずに人を殴るとは思えなかった。
「だから、俺はアンタを殴らない。」
「・・・・・・それでいいの?」
「俺は良いんだって!」
「赤也、何ひとりでカッコつけとんじゃ。」
「そうだぜぃー☆」
「俺も、アンタを殴ったりせんよ。」
「え?」
「女性に手を挙げるなんて行為いたしませんよ。」
「女を殴る趣味はない。」
「おかしいです。」
「何でじゃ?」
「だって、みなさんにとってさんは大切な人だったんでしょう?
私はそのみなさんの大切な人に手をあげたんですよ、しかもさんは女の子なのに顔に・・・。」
「しかし、それは俺たちがどうこうしていい問題ではない。」
「え・・・。」
「俺たちがあんたを殴ってもどーしょうもないしな。」
「それに後ろの氷帝の方々が睨んでいますしね。」
「おー怖。」
「だからお前は気にすんな。」
「・・・・・・ありがとう。」
氷帝の人たちがこの人を大切にしている理由がわかった。
この笑顔。
俺、惚れたっす!!
「アンタ、名前は?!」
「わ、私?」
「そう!」
「氷帝の3年、です。」
「さん、俺切原赤也っす!」
「切原くん・・・?」
「赤也でいいっすよ。」
「赤也くん?」
「うーん・・・呼び捨てで。」
「赤也。」
「完璧っす☆」
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