* 全てが夢物語 *










いつもならマンションの前に止まってる高級車。

でも、今日はいない・・・・・・。

だってあなたは忘れてしまったから。

私のこと、私のことだけを・・・・・・。



ちゃん!」


「・・・忍足くん・・・?」


「おはよーさん。」


「お、おはよう。」


ちゃんを迎えに来てみたんやけど・・・嫌やった?」


「ううん、嫌じゃないよ・・・・・・。」


「ごめんな、跡部やのーて。」


「・・・・・・。」



確かに少し期待してた。

昨日のは全部嘘だって言って、景吾くんが迎えに来てくれることを・・・・・・。

いつもみたいに「おはよう」って言ってくれることを。

「愛してる」って言ってくれることを・・・・・・。

ごめんね。

ごめんね。



「はよ行こ、遅刻したらあかんからな。」




















「あっ侑士ずるい!!」


「なんや岳人。」


「何でと一緒にいるんだよー!!」



侑士がと一緒にいた。

侑士から話は聞いた、跡部がのことを忘れてしまったって。

俺はそれを訊いて・・・少し喜んでしまった。

ずっと好きだったのことが。

だから、もしかしたら俺にもチャンスがあるんじゃないかって思った。

でも・・・・・・俺は喜んだことを後悔した。

昨日、を見て・・・・・・。

弱々しく微笑むを見て・・・無性に悲しくなった。

なぁ、跡部・・・なんでのこと忘れたんだよ!!



「迎えに行ったんやv」


「ずりぃー!!」


「こういう時は先手必勝や。氷帝の天才を舐めたらあかん。」


「クソクソ侑士!」


ちゃん、明日も俺が迎えに行くからなー。」


「あっ!俺も行くからな!!」



ちょっとだけが笑った。

本当にちょっとだけだったけど・・・・・・。

それが少し嬉しかった。



「お前ら道塞ぐんじゃねぇーよ。」



「そうですわよ!」

「跡部様がお通りよ!」



来た。

を悲しませた原因が。

しかも、さらにを悲しませるような行動をしている。



「お、おはよう・・・跡部くん。」


「・・・・・・。」


「挨拶くらいしろや!」


「・・・・・・おはよう。」



侑士に言われてからの挨拶。

に向けられたもの。



「跡部様!早く行きましょ!」


「そうですわ!」



うるさい女共と一緒に跡部は行った。

いつもならと話してるだけで俺たちに文句を言って、を連れて行くのに・・・・・・。



「クソクソ跡部!」


「何やねん、あの態度。」


「・・・・・・。」


ちゃん・・・大丈夫か?」


「うん、なんかやっぱり遠い存在だよねぇ・・・・・・。」


!今日、昼休み屋上に来いよ!」


「え?」


「一緒に昼飯食おうぜー!」



がいつも跡部とふたりで昼休みを過ごしてることは知ってる。

だからこそ、今誘っておく。

これ以上・・・を悲しませたくないから。

俺が笑わせてやるから・・・・・・。



「俺が迎えに行ったるから待っとき。」


「・・・う、うん・・・・・・。」




 







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