* 全てが夢物語 *










「遅いー!」


「あれー跡部ー?」


「あのね、跡部くんもご飯一緒にどうかなって誘ったの。」



ちゃんの言葉を聞いてわかった。

跡部はまだ記憶を・・・ちゃんのことを思い出したわけじゃない。

だってちゃんは”跡部くん”って呼んでいたから。

それに跡部がちゃんのことをここまで連れて来るとも思わない。

本当にちゃんのことを独占してたから・・・・・・。

俺たちが話すだけで不機嫌になったりしてた。

俺たちも跡部がちゃんのことすごく大切にしてることがわかってたからそれを見て笑えていた。

跡部の前でちゃんに抱きついたりしてみんなで笑ってた。

俺だってちゃんのこと大好きだった。

でも、跡部と一緒にいるちゃんの笑顔が一番大好きだった。

だから、2人の関係を壊したりしようとも思わなかった。

だってちゃんの笑顔が見れなくなるなんて嫌じゃん。



「こんにちはー!」


「こんにちは。」


「俺たちもご一緒・・・先輩?!」


「・・・どうして先輩と跡部さんもいるんですか?」


「いちゃいけねぇーのかよ。」


「い、いえ・・・!!///」



そういえば・・・鳳もちゃんのこと好きだったっけ。

この反応だし。

2人には跡部がちゃんのこと忘れてしまってること言ってない、言わなきゃ。



「鳳、日吉!悪い寝んけどコーヒー買いに行くの付き合ってくれへん?

みんなもいるやろ?俺ひとりじゃ持ちきれへんから、頼むわ。」



俺が動く前に忍足が動いた。

多分、俺と考えていることは同じ。

ここは忍足に任せたほうがいい・・・・・・。



「どうして俺たちなんですか?」


「お前ら立ってるやん、一番出口に近いしな。」


「わかりました!お手伝いします!」


「・・・俺も手伝いますよ。」


「おおきに。ちゃん何がええ?」


「えっあ・・・アイスティーお願いしてもいい?」


「任せとき。」





















「で、何か俺たちに用ですか?」


「なんや気づいとったん?」


先輩がいるのに忍足さんが人数分の飲み物を買いに行くとは思えません。」


「そうですよねー。」


「・・・あのな、跡部はちゃんのこと覚えてへんねん。」



「「はぁ?」」



「階段から落ちたことは知っとるやろ?」


「はい。」


「すごい噂になってましたから。」


ちゃんのことだけすっかり忘れてしもてん。」



「「・・・・・・。」」



「跡部の前ではその話禁止な。」


「でも、言えば思い出すんじゃないですか?」


「・・・ちゃんが言わないでくれって頼んできたんや。」



「「・・・・・・。」」



「話はそれだけや。」


「俺たちはどうすればいいんですか・・・?」


「何もせえへんでいいよ。ただ、ちゃんを笑わしたって。話しかけてやってくれればいいねん。」



「「・・・わかりました。」」



「じゃあ戻ろか。」




 







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