* 動き出した歯車 *
「話せ。」
今、目の前にはがいる。
俺が連れてきた。
普通この部室にいるはずがない女。
それなのに・・・何故だ?
何故こんなにも違和感を感じない?
「え、えっと・・・・・・」
「何故木の上にいた?」
「・・・・・・さっき見たでしょ?小さな紙。」
「・・・・・・あぁ。」
「それをね、取ろうとしてたの。」
それで騙された、というわけか・・・。
小さな紙には”馬鹿な女”と書かれていた。
つまり誰かが故意的にやったということになる。
「・・・・・・誰にやられた?」
「・・・それは言わない。跡部くんには関係ないことだもの。」
「・・・・・・。」
「でも受け止めてくれてありがとうね。助かっちゃった。」
「・・・何かあったら俺に言え。」
「どうして?」
「・・・・・・。」
何故俺はこんなことを言った?
この女が危なかしいから?
・・・・・・違う。
この女が、心配なんだ。
すぐに人を信じる、人を疑うことをしない。
「・・・・・・。」
「・・・・・・・心配なんだよ。」
「え・・・?!」
「そんなに驚くことじゃねぇーだろ、あーん?」
「ご、ごめんね。」
俺がひとりの女の心配をするとはな・・・。
俺らしくねぇーな。
俺をこんなにも振り回すこの女。
何故俺は知らない?
わからない。
「わかったな?」
「・・・・・・うん。ありがと。」
また笑った。
懐かしい・・・笑顔。
この笑顔、前にも見たことがあるような気がする。
「帰り、送ってやる。」
「で、でも・・・悪いよ?」
「俺様が誘ってるんだ、断る気か?」
「・・・・・・。」
「跡部ーそんな言い方はないんちゃう?」
「忍足、いつからいたんだよ。」
「跡部とちゃんが入ってくる前からずっとおったで、隣の部屋に。」
「「「・・・・・・。」」」
「もうちょっと優しく言ってやりーや。」
「・・・・・・。」
「跡部くん、帰り送ってくれなくても大丈夫だよ。だって練習遅くまでするでしょ?
それなら私のお家なんか寄らないで真っ直ぐお家に帰ったほうがいいもの。」
まさかそんなことを言い出すとは思わなかった。
ただ自分が家に帰るのが遅くなるから嫌というわけじゃない。
俺のことを思って言ってるのか、こいつ・・・。
「優しいなーちゃんは。俺、惚れそうやわ。」
「。」
「は、はい!」
名前で呼んでやった。
ムカついた。
忍足がこいつのことを名前で呼んでいることに。
「なんか文句あるか、あーん?」
「・・・ないです。」
「なぁちゃんv跡部とやのーて俺と帰らへん?」
「えぇ?!」
「俺やったらちゃんの家近いしvちょうど通り道やねん。」
「え、えっと・・・・・・。」
「俺が送る。」
「ちゃんの気持ちもわかったりー。」
「、俺が送る・・・いいな?」
「・・・・・・はい。」
「まぁええわ。じゃあ明日は俺と一緒に帰ろな?」
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