* お騒がせなお姫様 *










「何か嬉しいっすよv」



こんなに名前で呼んでもらって嬉しいと思ったことはない。



「そう、なら良かったね。」



ふわり。

さっきの言動と打って変わってこの笑顔。



「でも、ワカメくんも良いと思うんだけどなv」


「思わないっす!」


「まぁ、私としては本当に嫌だと思ってることはしないようにする主義だから。

でも、また言っちゃうかも、ワカメって。その時は許してね。」



どういう主義っすか・・・。

意味わかんないし。



「人で遊ぶのも本当に嫌がってると思ったらしないわv」



・・・遊ぶ気なんですか?

俺ってもしかしてもう遊ばれてる?



「・・・その遊ぶって言うの俺も入ってるんすか?」


「もちろん、いっぱい遊んであげるねv」



やっぱり入ってたんだ、俺・・・。

何されるんだろう・・・?



「大丈夫、テニス部のみんなそうだから。」



みんなってあの真田副部長も?!



「・・・真田副部長もっすか?」


「当たり前v」



・・・すごいっす、先輩。



「あっテニス部のみんなって言っても、レギュラーだけだよ。

私が関わりがあるのってレギュラーのみんなだけだし、それ以外の人は名前すら知らないわ。」


「・・・。」


「別に知っていても得することもないしね。」



損得の問題なんですか?!



「でも、年下にも知り合いが出来てよかったわ。」


「何で?」


「忘れ物した時に便利だから。」


「はぁ?」


「例えば辞書とかね。」



・・・意味わかんないっすよ、マジで。



「私のアドレスね、これ。」


「いいんですか?教えてもらって。」


「うん、辞書忘れた時連絡するから持ってきてねv」



そういうことっすか・・・。

使えるものは後輩でも使え・・・むしろ後輩だから使えってこと・・・?



「お願いね、赤也v」



あ・・・俺の負けです。

その笑顔好きだし。

先輩に逢えるならそれくらい苦じゃないような気がする。



「仕方ないっすねー。」



やっぱりこの笑顔には逆らえないから。



「良い後輩になれるよ、赤也はv」


「どうもっす。」


「いつでもメールしてねv」


「いーんすか?」


「うん、楽しいこと好きだし。」


「わかりました。」


「ついでに赤也のアドレスも教えて。

赤也のアドレス知らないと何も出来ないことに気づいたから。」


「これっす。」



紙にアドレスを書いて先輩に渡す。



「ありがとう。」



また微笑んでくれる先輩。

やっぱりその笑顔が好きです。




 







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