* 優しい手 *










「やぁーっぱりここにいた!」


「赤也・・・。」


先輩のクラスまで迎えに行ったのにいなかったし!」


「ごめん、今日はHR早く終わってね。」


「幸村部長のところに行くなら俺も一緒に行きたかったのに!」


「ごめん、ごめん。」


「許さない。」


「・・・え?」


「なぁーんてね。俺が先輩のこと許さないはずないじゃん。」


「・・・馬鹿ワカメ。」



先輩の瞳には涙が溜まっていた。



「ちょ、ちょっと先輩!ごめん、ごめんってば!だから泣かないで!」


「え?泣いてなんか・・・あれ?」


「泣いてる!ど、どうしよう幸村部長ー!!」


「大丈夫、少しが精神的に弱っているだけだから。赤也のせいじゃないよ。」


「ごめん、ごめんね・・・赤也・・・。」


先輩!俺こそごめん!本当にごめんっ!!」





抱きっ





「だから、泣かないで?」


「罰として・・・もうちょっとだけ抱きしめてて?」


「了解っす!」



罰じゃないっすよーって言いかけたけどやめた。

先輩の望みなら、俺は叶えるから。




















「幸村、見舞いに来た。」


「調子はどうだ?」


「あー赤也!何やってるんだよー!!」


「・・・さん、また抱きつかれたのですか?」


「いい加減離れんしゃい、赤也。」


「・・・たるんどる!!」


「いーんですよ!今日は先輩のご指名なんですから!」


「そうなのか、幸村?」


「うん、今日は特別ね。」


「赤也ーそろそろ離して?」


「いや、もうちょっとー!」



先輩からこんなお願いなんてあまりないし。

おとなしく俺に抱きしめられている先輩はめっちゃ可愛いしv



「離して!」


「嫌!」


「離しなさい!!」


「嫌だ!」


「・・・もうっ・・・今日だけだからね?」


「赤也ずるい!俺だって抱きしめる!!」



丸井先輩が俺と向かい合う形になって先輩を抱きしめる。



「ちょ、ちょっとブンちゃんー?!」


はおとなしく俺に抱きしめられとけぃ。」


「・・・はい。」



いつもの破天荒な先輩も好き。

でも、こんな風に俺に(丸井先輩もだけど)抱きしめられている先輩も好き。

俺はどんな先輩でも好き。

幸村部長とどんな話をしていたのかはわからない。

でも、訊きたいけど、訊かない。

訊くことによって先輩を傷つけることになるかもしれない。

絶対に傷つけたくない。

だから訊かない。

いつか俺にも幸村部長みたいに頼ってくれるようになるって信じてるから。




 







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